「にこんでみました。」のだいほんです。
①
今年の9月5日に大阪府警東成署というところが、自動車保管場所法違反の疑いで朝鮮総連のメンバー4名を逮捕し、朝鮮総連東成支部を含めた5箇所に対する家宅捜索を行うという暴挙をはたらいたんですよ!
実質的には単なる路上駐車なんですけど、それが長時間、というか長期間に及んでしまったから、法律的には一応、自動車保管場所法違反というのになるらしいんですよ。要は路上を車庫として使っちゃあかん、という法律ですね。ただですね、この法律に違反したのはよくないとしても、通常において基礎されることはほぼあり得ないほどのものなんですよね。起訴なんて1パーセントないくらいなわけで、せいぜい罰金払っておしまい、それほどの小さな事柄に対してなんで大袈裟に事件化し、逮捕・家宅捜索が強行されてしまうのかという話なわけです。これは明らかに朝鮮総連に対する弾圧を目的とした権力の濫用としか言いようのないでしょう。
朝鮮総連およびその関連の施設、在日朝鮮人に対する、このような不法で恣意的な弾圧はこれまでも数多く行われてきましたが、それが日本の朝鮮敵視政策の一環であることは警察庁長官自身が実は恥じらいもなく正直に告白しているんですね。
一度目の安倍政権下において漆間巌という当時の警察庁長官は2007年の年頭記者会見で、
「拉致被害者の帰国に向け、北朝鮮に日本と交渉する気にさせるのが警察庁の仕事。そのためには北朝鮮の資金源について、『ここまでやられるのか』と相手が思うように事件化して、実態を明らかにするのが有効だ。北朝鮮が困る事件の捜査、摘発に全力をあげる。」
なんてことまでいってるんですから。そんで実際にその期間の弾圧は質でも量でもとんでもなかったですからね、マジで。法の厳格適応とか言って、朝鮮人だけ法律を厳格に適応するって、おいおい、法の下の平等とか根底からくずさへんか、それみたいな話だけど、まぁ、憲法そのものが国民、国民うるさい書物だからね、、、とにもかくにもこの当時、2005年10月から2008年末までで23件、123箇所を超える不当な家宅捜索にあってるからね。ほんと一時期、毎月全国の総連のどこかでガサ入れにあってるみたいな状況だったもん。
今、安倍第2章で着々とヤバイ道を走っているからこそ、弾圧に屈することなく抗議を貫くことがますます大事になっていると思いまっせ!!!
②
在日朝鮮人2世の金稔万さんが、働いていた建設現場で「通名」である日本名の使用を強いられて、精神的苦痛を受けたとして、建設業者や国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が11月26日、大阪高裁でありました。判決は稔万さんの請求を棄却した一審の大阪地裁判決を支持、控訴を棄却しました
地裁判決では「通名」の強制自体を否定していたのに対して、今回の高裁では「不必要な通名使用を強いて、金さんのアイデンティティーを侵害した」と建設会社による通名の強制を認めるなど事実認定の点で前進があったと捉えることはできるんですが、いわゆる「通名」が「社会通念上」「普通」とされている現状に甘えて「アイデンティティを侵害する悪意」まではないから違法行為には当たらないと逃げています。これではですね、結局のところ、「通名を強制して傷ついたのは分かるけど、それが日本社会の普通だから我慢しろ」と言っているのと変わらないわけですよ。在日朝鮮人が日本名を持つようになった歴史は植民地統治期の創氏改名に遡ります。これは朝鮮名を奪うこととセットでした。解放後、朝鮮名を取り戻したわけなんですけども、それを名乗れば差別されるからという理由から押し付けられた日本名を使い続けることを選択せざるを得なかった朝鮮人はたくさんいます。そんな風に選択させてきた、今も選択させているのが日本社会であり、そんな日本の「社会通念」において何が普通であるかという感覚で判決文書いてんじゃねぇよ!と強く怒っていますし、怒り続けます。忘れてたまるか!
③
2011年に朝鮮学校に通う生徒が高校「無償化」制度の適用から排除されてから、各地方自治体においても補助金凍結が相次ぎました。13年までに東京・大阪府、大阪市・千葉、宮城において凍結、見送りされていました。
今年1月には、政府が「高校無償化」制度から朝鮮学校を除外するために省令改定案を検討し、私立学校認可外になっている外国人学校(国際学校含む)に通学する生徒への制度適用について定めた以下条件から、事実上、朝鮮学校のみを対象としていた
(ハ)それ以外の外国人学校で文科大臣が指定したもの
を削除し、民主党政権時代にはあくまで法的には朝鮮学校も「無償化」制度の対象でしたが(にも関わらず朝鮮学校を制度から除外していた民主党政権も許せない!)、法的に朝鮮学校を無償化制度から除外するというかなりひどい状況となっています。
その後は「中央」政府が差別にお墨付きを与えるのを待っていたかのように、神奈川・埼玉・広島県及び市、山口、福岡、横浜市が補助金を凍結し、東京町田市では朝鮮学校に通う児童のみに防犯ブザーの不支給を決定(抗議が殺到したので後に撤回)し、川崎市では補助金を現金でなく「拉致問題に関する本」を現物で支給するという暴挙も行われています。
補助金凍結等に対しては、各地で裁判闘争も行われています。しかし、一教育機関である朝鮮学校が、授業や生徒に関することにではなく、自治体や国が行う差別に対して裁判を起こしたり、数えきれないほどの抗議活動等に労力や時間が割かれることはおかしいのではないでしょうか。
「無償化」除外や補助金凍結を「正当化」するために、「国民・都道府県民の理解」が持ち出されています。そんな中、それらを許し、差別政策を放置している「日本社会」こそがこの無償化問題における本当の「問題」ではないでしょうか。
④
今年の4月には朝鮮民主主義人民共和国への経済制裁が2年延長されました。そして11月27日には参議院本会議で朝鮮からの船舶の入港を禁止する法律(特定船舶の入港禁止に関する特別措置法)の延長が全会一致で採択されています。
日本による朝鮮への独自の制裁は、国連安全保障理事会決議にもとづく制裁とは別に、わざわざ為替法を改正して2006年に始まっています。始まった当初は6か月ごとの延長期限で、6か月ごとに延長するか審議されていました。それが、2009年には1年に延び、さらに今年は2年になりました。
制裁によって、朝鮮と日本を行き来する万景峰号が入港禁止になり、輸出入の全面禁止や朝鮮へ所持できる現金に制限がかかることで、ヒト・モノ・カネの往来に大きな制限がかかっています。例えば、在日朝鮮人が朝鮮にいる家族へ渡すために持って行く物や金額も限定されてしまっていますし、朝鮮へ旅行に行った際に買ったお土産が空港で没収されるようなことも起こっています。そして、日本から朝鮮へ中古パソコンを送った在日朝鮮人が外為法違反で逮捕され、さらに総連各機関へ不当な強制捜査が行われました。同じくピアノとベンツを送ったら贅沢品を輸出したとして逮捕、タイルや、つい最近では冷凍タラですら不正輸出として逮捕者が出ています。
また、「在日の北朝鮮当局の職員」に朝鮮総連の議長・副議長などの6人があたるとして、日本政府はこの6人の再入国許可を取り消し、実質日本から外へ出られない状況となっています。
こんなにも朝鮮に住む人々や、朝鮮との往来やモノ・カネのやり取りを必要としている人たちの生活を圧迫する制裁は、深刻な人権侵害です。
日本はただちに、朝鮮敵視政策、朝鮮への経済制裁をやめろ!
⑤
安倍首相が4月に侵略の定義は定まっていないと発言した事は、日本も賛同した侵略戦争の定義を定めた国連決議はもちろん侵略戦争であることを認めたサンフランシスコ平和条約にも反する事で、限界は大いにあるとはいえ再度の戦争の回避を目指した戦後国際秩序を根底から否定するものに他なりません。
さらにかつて創氏改名は当時の朝鮮人が望んだ事と発言した麻生副総理は3月に中山成彬議員にその認識の変化を問われ、これに明確な否定を示しませんでした。ナチスに学べ発言とあわせ、認識は当然変化していないとみるべきでしょう。
また橋下大阪市長は従軍慰安婦の強制性を示す証拠はないという、歴史的事実に反する発言を堂々と行い、批判に対しても強制性や犯罪性を矮小化するような発言を繰り返しました。
また名古屋の河村市長は、南京大虐殺はなかったというこれまた歴史に反する発言を行った上に開き直っています。南京大虐殺の範疇や被害規模について議論を重ねる事と、そもそも存在を否定するのはまったく異なる行為です。
また八重山の竹富町にたいし、文科省は新しい歴史教科書をつくる会系のいくほう社の教科書を採択するよう迫り、全国の中から竹富町だけが教科書の無償供与から外されました。そもそも採択経緯が問題視され、八重山地区の全教育委員による採択のやり直しにより、他社が選ばれたにも関わらずです。
私たちは、歴史修正主義がなによりも日本国籍を有する者たちによって選ばれた有力政治家たちによってなされていることを深く憂慮していますし、憤っています。また歴史清算には歴史清算の意義がありますので、今を生きる者にとっての意味のみを強調ばかりをしたい訳ではありませんが、過去の人間の命を軽視するものがちが、今を生きる人間たちの命を軽視するものではないと誰がいえましょうか。過去の認識と総括はすぐれて現在進行形の問題であり、近未来を考える指針としても重要なものです。とりわけ私は、日本の歴史修正主義が在日朝鮮人差別や、朝鮮民主主義共和国に対する強硬政策、そして日本再軍国化と抱き合わせになっていることを最後にあらためて強調します。