11月19日、東京高裁にて、「2.9竪川弾圧」控訴審が行われました。そこでは、被告人が法廷への出廷を希望しているのにもかかわらず、被告人の来ている「シャツ」を理由に裁判から排除し、弁護人、傍聴人も排除したうえで、裁判が行われ、被告不在のまま、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を下しました。このような不当裁判・不当判決は許されるものでないと私たちは強く抗議します。
そもそも「2.9竪川弾圧」とはなんであったのか。詳しくは2.9竪川弾圧救援会のブログ(http://solfeb9.wordpress.com/)に書かれておりますが、2012年2月8日、江東区が竪川河川敷公園で生活を営んでいる野宿者との話し合いを、また、それまでの交渉での「追い出しはしない」という約束を一方的に拒否し、暴力を行使し、野宿者の住居を破壊するという許されない暴挙にでました。そして2月9日に予定されていた話し合いをも拒否し、説明を求める支援者らを強制的に排除した挙句、その過程で一人の支援者が区役所のガラスを割ってしまったことに対して警察に引き渡すというさらなる暴挙に出、警察は「器物破損罪」で逮捕にまで踏み切りました。そして、ガラスについては弁済がなされたためそれにより「器物破損罪」で起訴しても争えないと踏んだのか、検察は「器物破損」から「威力業務妨害」となんと「犯罪事実」を切り替え、起訴。一審の東京地裁では、江東区による暴力は無視し、検察の言うがままに「懲役1年執行猶予3年」の判決を下しました。さらに控訴審では、冒頭にも書いたように、被告人すら排除した上で一審判決を支持するという暴挙に出ました。
この弾圧のそもそもの始まりは江東区による野宿者排除です。江東区による野宿者に対する暴力の経緯としては、
『●江東区水辺と緑の課が「野宿者排除はしない。強制的な手段はとらない。話し合いでやっていく」との約束のもと公園リニューアル工事着工(2009年)。
●しかし、約束は次々と反故にされ、今年2月8日、江東区は残っていた仲間1軒の小屋に対して行政代執行を行い、住人を引きずり出し病院に放り込み、小屋と荷物を持っていった。
●10月、今年2度目の行政代執行手続きを開始。仲間はふたたび代執行予定地外(副堤)に引越し。
●小屋が一軒も代執行予定地に残っていないため、代執行は行われなかったが、12月5日区の職員、警備員、警察あわせて200人を動員して引越し先の副堤を隔離封鎖するフェンス設置強行。
●現在、小屋ヘのアクセスは狭くて危険な通路一本のみ。
●公園内の水場は止められている。
●区役所はいまの状態でも人権上問題ないといい、人権課や教育委員会も対応を放棄。』(以上、「山谷ブログ-野宿者・失業者運動報告-」の「400字でわかる竪川の問題の経緯」(2013/1)(http://s.webry.info/sp/san-ya.at.webry.info/201212/article_18.html)より引用)
『●少年らによる野宿者襲撃の事例(竪川河川敷公園だけでも以下のような事件が起こっています)
2011年1月 公園内に設置された、追い出しをやめるよう訴える横断幕が、放火され焼け落ちる。
2011年3月5日 テントへの襲撃。コンクリートブロックを投げ落とすなど。
2011年7月6日 一人の仲間が、襲撃により足に怪我を負い、以後しばらく通院。
2011年7月28日 野球のアンダーシャツを着た少年らにより、花火がテント小屋に撃ち込まれる。
2011年10月10日 少年らにより生卵を投げつけられる事件発生。
2011年11月2日 少年らにより発火物がテントに投げ落とされ、野宿の仲間のテントが全焼。
2011年12月 小屋にトランクが投げ落とされる。
●江東区役所各部署との、襲撃事件についての交渉記録
■人権推進課
昨年度:襲撃の事例を共有するための話合いを持つ。対応を求めるが、人権推進課によるなんらかの動きには至らず。
今年度:襲撃事例の共有のための話合いを求めるも、当事者全体を含む話合いを人権推進課側が拒否。
■教育委員会
2011年11月16日 一連の襲撃事件を受けての話合い。被害当事者がその場に来て、襲撃について報告しているにもかかわらず、教育委員会は、「襲撃があったという事実を認めることはできない」と言明。警察からの報告(もしくは襲撃を行った生徒や保護者からの報告)がない限り、事実として認めないとのこと。結果として、「江東区で現在起こっている野宿者襲撃」という具体的な事例に即した指導・教育はできないとのこと。
■水辺と緑の課
2011年1月の、横断幕放火事件の際、現場に来た職員が「このような横断幕は燃やされて当然だ」と発言。(後日、話合いの席で、布の素材についての発言だったと釈明)
7月から、緊急雇用創出事業により、ガードマンを雇い公園を巡回させている。ガードマンは、ベンチで寝ている人を起こして追い出すなどの行為を日常的に行っている。これについて抗議するも、是正なし。今も追い出しが続いている。』
(同ブログ「江東区大島小松川公園での野宿者襲撃を許さない!!襲撃の経緯や背景、そして江東区役所の責任」(2011/12)(http://s.webry.info/sp/san-ya.at.webry.info/201112/article_5.html)より引用)
これらのように江東区が名目上は「工事」としながら、率先して野宿者らを排除し、暴力をふるい、権利を奪い、「野宿者は攻撃しても構わない」「野宿者は悪である」というメッセージを送ることで、さらなる暴力を生んでおり、にもかかわらず江東区はそのことを反省謝罪し、対応をするどころか、野宿者に対する排除、暴力に拍車をかけました。このような社会による野宿者に対する多種多様な暴力に対して、そんなことはあってはならない!許してはならない!野宿者の人々の権利を奪うな!排除するな!という真っ当な抗議の声を江東区は暴力をもってつぶしにかかってきています。社会は野宿者排除の「大義名分」として「治安」や「景観」を持ち出しますが、それらのために人の生活を命を奪っていいのでしょうか。野宿者の人々が「治安」を乱すどころか、野宿者こそが社会によって暴力にさらされ続けているのではないでしょうか。ワールドカップやオリンピックに代表される国際イベントや観光において「美しいニッポン」を演出するために、そこで暮らしている人々の生活を住居を奪ってよいのでしょうか。
またこのような権力による暴力に抗議する人々には、行政、警察、検察、裁判所が一体となってなりふり構わずに弾圧を行うことが続いています。権力に従わないもの、抗議するものの取り締まりをさらに強化すべきと特定秘密保護法は強行採決され、それを予告するかのように「デモはテロ」発言(石破発言)があり今回もまた抗議者を逮捕しています(詳細は「12.6 秘密法国会傍聴者弾圧救援会」(http://himitsuhokyuen.wordpress.com/)参照)。このような立法、行政、司法の三権が一体となった弾圧、権利侵害は今回はじめて起こったのではなく、朝鮮総連や朝鮮学校に対する弾圧((http://www.io-web.net/category/%E6%A8%A9%E5%88%A9/page/2/)等参照)、在日外国人に対する権利のはく奪(「月刊イオ」(http://www.io-web.net/category/%E6%A8%A9%E5%88%A9/page/2/)参照)、沖縄米軍基地に反対するものに対する弾圧(「標的の村」(http://www.youtube.com/watch?v=vO8-ZCZHEGs))、原発や瓦礫拡散焼却に反対するものへの弾圧(「関西大弾圧救援会」(http://blog.goo.ne.jp/kansai-dan)参照)、日の丸君が代、天皇に反対するものに対する弾圧(「レイバーネット」(http://www.labornetjp.org/news/2013/0905shasin)参照)など枚挙にいとまがありません。そしてこれらはつねに、国家に刃向う、体制を揺るがす「非国民」を標的に続いているのではないでしょうか。国に抗議すれば、逮捕し有罪とする。そんなことが許されていいのでしょうか。
今回の判決を許してしまうことがあってしまえば、権力による排除、暴力がますます強くなるだけでなく、権力に対して抗議をするものへの弾圧もさらに起こるだろうと思います。このようなことを許さないためにも、竪川弾圧に対してはもちろん、これまで続いてきた(いる)数々の不当な裁判、判決に対しても抗議し、行政や裁判所に対してNOを突きつけることが必要なのではないのでしょうか。
改めて、2.9竪川弾圧、不当裁判に抗議します。
コトコトじっくり煮込んだ日帝♪(ファのはちぶおんぷ)